士官学校事件

ここで士官学校事件について書きます。
辻正信の中隊に佐藤勝郎という長崎出身の生徒がいました。この佐藤が辻のところへ次のような報告をします。
「自分の隣の中隊にいる武藤与一というものが村中大尉や磯部一等主計、西田税らの影響を受けて国家改造理論の研究グループをつくり何事かを画策している様子で自分も誘われている。」といった趣旨です。
これを受けて辻は佐藤にさらに偵察するように命じます。
佐藤の報告によると村中らの計画の概要は皇道派青年将校による元老、重臣および警視庁襲撃の計画でした。
 襲撃目標
  1.斎藤実前首相、牧野伸顕内大臣、後藤文夫内相、岡田啓介首相、鈴木貫太郎侍従長西園寺公望公爵、警視庁。
  2.一木喜徳郎枢密院議長、高橋是清蔵相、清浦奎吾前首相、貴族院議員伊沢多喜男、湯浅倉平宮内大臣、財部彪元海相幣原喜重郎元外相。
 クーデター後
   荒木、真崎大将を中心とする軍政府を樹立して改革を実行。(しかし、両大将には事前の承諾は得ていません。)
辻が佐藤の報告う受けこれを橋本虎之助少将(陸軍次官)に報告します。橋本は憲兵隊と協議し、憲兵隊は村中、磯辺の両大尉と片岡太郎中尉らを逮捕します。